ストーリーの基本と展開方法

ストーリーの基本と展開

基本は、起承転結!

やはり、何と言っても基本は起承転結になります。必ずコレでなければ、というわけではありませんが、起承転結を軸に物語をまとめると、メリハリが効いて分かりやすい展開になります。特に、童話は子供たちが相手なので、複雑な構成は避けたいところです。

「起」は物語の導入部分で、「承」によってその物語を展開させます。そして、「転」で何らかの事件やハプニングを使って物語を一気に盛り上げます。最後に、「結」で物語を締めくくります。もちろん、基本形がこれになるということであって、慣れてくれば、これの応用や変形も可能です。

物語自体を盛り上げるには、コンフリクトと呼ばれる手法が役立つでしょう。これは、「葛藤」とか「対立」とか呼ばれる方法ですが、要するに、様々な場面で対立要素を用いるのです。例えば、これを登場人物に適用すると、行動派の主人公に対して沈着冷静なライバルを配置するとか、弱気なウサギと強気なオオカミを組み合わせる、といった具合です。

もちろん、これは心理的な葛藤としても使えます。自信に満ちていた主人公が、急に弱気になったり、また元気になったりと、感情に起伏を持たせることによって読者が共感しやすいように工夫します。また、嬉しい出来事があったかと思うと、悲しい事件が起き、また、楽しいハプニングが……といった具合に幸福感の起伏としても使えます。

いずれにしても、作品を書く際は、いきなり書き始めるのではなく、事前に物語の構成をよく考えておきましょう。これは、プロットの作成とも呼ばれますが、最初に大まかな物語のあらすじを考えておくのです。

こうすることで、かなり効率よく筆が進むようになります。実は、プロット作成の段階で、ほぼその作品の成否が決まっているのです。ですので、ここは決して手を抜かずに取り組んでください。考えて考えて考え抜くことです。

童話特有のストーリー展開

さて、童話では、大人向けの小説とは若干異なる工夫が必要となります。もちろん、それは対象となる読者が子供であることに起因します。

まず、上で述べた起承転結に関してですが、童話では「承」を繰り返すという手法がとられることがよくあります。これは、代表的な昔話を思い出すと分かりやすいでしょう。

例えば、桃太郎のケースです。桃から生まれた桃太郎が、やがて鬼が島の鬼退治に出かけることになります。旅の途中で、猿と犬、雉が桃太郎に同行することになりますが、ここが「承」の繰り返しになります。そして、最後に皆で力を合わせて鬼退治に成功するというストーリーです。

こうした「承」の繰り返しは、作品に独特のリズム感を生み出します。童話では、このようなリズム感が重要です。これは、ストーリーに限らず、擬音や効果音などでも利用されます。そこでは、少しずつ変化を加えたものが、繰り返し出てきます。

また、こうしたリズム感とも関係しますが、説明文や背景描写もできるだけ少なくして、会話分を主体に物語を展開する必要があります。こうした手法は、ケータイ小説にも通じる部分があるでしょう。ケータイ小説では、限られた表示画面という制約がありましたが、童話では子供たちの限られた認識力という制約があるのです。

子供たちにとって、分かりやすくて楽しいのが、こうしたストーリーやフレーズの繰り返しなのです。大人と異なり、子供たちは気に入った物語であれば、何度も何度も繰り返し聞きたがります。既に知っている内容でも、繰り返し聞きたくなるところに子供の特徴があるのです。