作品のテーマ設定とその表現方法

テーマ設定とその表現方法

テーマとは?

テーマというのは、日本語で言うところの「中心課題」や「主題」のことを意味します。つまり、著者がその作品を通して強く訴えたいこと、と考えれば良いでしょう。例えば、「命の大切さ」や「思いやりを持とう」、「いじめを止めよう」などがそれにあたります。

こうした大まかなテーマがあって、次に具体的なモチーフを使ってこれを表現します。モチーフというのは、テーマを表現するための題材のことです。これは、そのテーマを選ぶきっかけとなった題材であることもあります。

例えば、「自然を守ろう」というテーマであれば、これを描くためのモチーフとして、カエルや湖といった自然の題材を使うことによって、そうしたメッセージを伝えることができるでしょう。

テーマの表現方法

次に、こうしたテーマを様々なモチーフを使って書くわけですが、その際に注意すべき点があります。それは、テーマをあからさまに言葉で表現しない、ということです。これをしてしまうと、文学作品としては面白くなくなってしまうのです。

例えば、「いじめを止めよう」がテーマであれば、いじめはダメですよ、という言葉は使わずに、いじめをした主人公の心の苦しみや、いじめられた友達の心の悲しみを表現します。そして、二人が人間的に成長し、掛替えのない親友になる姿を描くことによって、間接的に、いじめを止めると幸せになるんだ、と感じてもらうのです。

もちろん、あえて、メッセージ童話を書きたいということであれば、ストレートにテーマを書いても良いのですが、どうしても説教っぽくなってしまい、子供たちの心を動かすことが難しくなります。

子供たちの心を動かすには、彼らに感動を与える必要があります。感動を与えるには、テーマそのものを直接表現するのではなく、その周辺を描くのです。


テーマ探し

では、童話のテーマとして、どんなものを選べば良いのでしょうか? 基本的には、どんなものでもテーマの対象となります。あなたが日常の中で発見した、ちょっとした気づきでも立派なテーマになるのです。

もちろん、大人が好むような暴力シーンや性的な内容が満載、というのでは困ります。作品を読んだ子供たちの心に、明るさや希望、優しさが宿るかどうか、というあたりがチェックポイントになるでしょう。

基本的な方向性さえ間違っていなければ、あまり厳格に考える必要はありません。特別なテーマというより、あなたが発見し、子供たちにどうしても伝えたいというテーマがあれば、それを子供たちの目線で表現することです。あなたの子供たちへの愛情が本物であれば、その想いは必ず彼らに伝わるはずです。