印税の仕組みと原稿料の注意点

印税の仕組みと原稿料

童話作家の収入源

童話作家にとって主要な収入源は、出版した著書に対する原稿料となります。有名になってくれば、講演会等を開催して講演料を得ることもできますが、こうした収入はもう少し先の話です。

まず、原稿料についてですが、これは次式で計算することができます。

原稿料 = 発行部数 × 定価 × 印税率

最初の発行部数というのは、文字通り、その書籍を刊行した部数のことです。最近では、確実に売れることが予想される書籍は別にして、初版部数は低めに設定されることが多いようです。特に、童話や絵本ではベストセラーが生まれにくいので、2千部、3千部ということもあるようです。

定価は、その本の値段のことです。そして、問題となるのがその印税率です。一般的には、10%という印税率が設定されることが多いのですが、最近では8%程度に抑えられることもあるようです。特に、新人作家の場合は厳しいようです。

また、童話や絵本では、イラストが挿入されることが多いので、その時は、イラストレーターとその印税を分け合う形になります。文章の執筆者に6割、イラストレーターに4割といった具合です。

例えば、初版の発行部数が5000部で、定価1000円、印税率10%、そのうち、文章の執筆者に6割ということであれば、次のような計算になります。

原稿料 = 5000部 × 1000円 × 10% ×0.6 = 30万円

このようにして計算された原稿料が、契約書で交わされた内容に沿って著者に支払われます。通常は、刊行してから2、3ヵ月後に支払われることが多いようです。もちろん、本がよく売れて、2刷、3刷と重版されれば、その度に原稿料は支払われます。

原稿料の注意点

ところで、先程の説明で、発行部数のことを「その書籍を刊行した部数」と書きましたが、契約によっては、これとは異なる計算方法が使われることがあります。

それは、発行部数の代わりに実売部数を使うケースです。これは、書籍を刊行した部数ではなく、実際に売れた冊数を元に原稿料を計算する方法です。こちらは、著者にとって非常に不利な条件になります。

もし、その本が売れなければ、当然、収入もありません。また、実売部数を使う以上、その部数が確定するまでに時間がかかり、書籍を刊行してから1年後に原稿料が支払われた、という事態にもなりかねないのです。

従って、出版契約を結ぶ際には、その内容をよく確認しておく必要があります。特に、原稿料の計算に関して、著しく不利な条件がないか要注意です。その際、発行部数や定価、印税率、原稿料の支払日などが、契約書に明確に記載されているかどうか確認しておきましょう。

また、契約書の更新期間についても注意が必要です。通常は2、3年というケースが多いのですが、これが10年とかになっていると、もし、その本が絶版になったとしても、その期間が過ぎるまでは、他の出版社から出版することはできなくなってしまいます。

最初は、誰でも自分の本が始めて世に出るということで有頂天になってしまうのですが、出版契約を結ぶにあたっては、その内容をよく確認し、不備な点があれば訂正してもらうことです。